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面談前にしっかり対策を!日本政策金融公庫の融資面談の仕方

日本政策金融公庫の場合、創業融資を受ける際の面談は、おおむね30分〜長くても2時間程度です。

 

その短い時間で担当者が確認する事は、「しっかりとお金を稼げる人物・プランかどうか」です。

言葉を変えると、創業することで売上が上がり、返済が滞りなく行えるかどうかを確認されます。

したがって面談の際に最も重要視されることは、創業計画書に示した内容の根拠となります。

そうは言っても何をどうしたらいいのか定かではありませんよね。

今回は日本政策金融公庫の融資面談において重要なポイントをお伝えします。

面談前にしっかりと対策を講じて、当日慌てないようにしましょう。


1.日本政策金融公庫の融資面談の流れ

①融資面談の日程通知
融資を申し込むと、その場で面談の希望日を聞かれるか、後日電話などで連絡が来ます。

 

日程が早ければ早いほど融資実行までの時間は早まりますが、資料が出来上がっていないと後ろ倒しにせざるを得なくなります。

必要資料を前もって準備しておくと、後々スムーズです。

 

②指定の日時に日本政策金融公庫の支店に出向く
創業計画書などの資料を持参して指定された場所に出向きます。

ほとんどの場合、日本政策金融公庫の支店のカウンターや応接室で行われます。

 

③創業計画書に基づき質疑応答
面談の本番です。通常は日本政策金融公庫の担当者1〜2名が対応してくれます。

創業計画書に沿って面談担当者が質問し、それに答える形式で進みます。

 

④解散
融資審査の結果は後日郵送で送られてきます。約2週間見ておきましょう。

融資が決定した場合、現地調査を経て必要書類の準備がされるため、時間を要するのです。

融資審査に落ちた場合は電話か郵送で連絡されます。


2.融資面談前のポイントと注意点

①服装や見た目
清潔感のある着慣れた仕事着がお勧めです。
原則として、スーツでないといけないという決まりはありません。

着慣れていない服装よりも、普段着の方が緊張せず質問にも答えやすいでしょう。

 

なお仕事着がスーツでない場合は、清潔感に気を配ってください。

例えば、飲食店を始める方が汚れて不潔な服装で現れたら、面談担当者に不信感を与えてしまいかねません。

 

クリーニングまではしなくてよいでしょうが、洗濯とアイロンがけはした方がよいでしょう。

 

②資料の見直し
提出する資料をしっかりと作り込み、その見直しを行いましょう。

多少緊張してうまく話せなかったとしても、資料をパッと示して数字を用いて簡潔に伝えることができれば担当者からの信頼を勝ち取れます。

提出資料をよく見直して、頭の中で整理しておきましょう。

 

③想定質問に答える準備
融資面談ではほぼ同一の質問がなされると考えて間違いありません。

その理由は融資面談で判断すべきポイントが決まっているからです。

 

そのポイントとは先ほども述べた通り「しっかりとお金を稼げる人物・プランかどうか」です。

質問の中でも重要なのが「融資した資金の使い方」や「売り上げや利益の見通し」です。

 

創業の動機や経験をアピールしたくなる気持ちもわかりますが、融資面談の担当者が重視するポイントは別にあることを重々承知しておいてください。


3.融資面談時のポイントと注意点

①持参しなければならないもの
日本政策金融公庫の融資面談時に必要最低限持参するものをピックアップしました。

「お持ちいただく資料」とは、借入申込書を提出した際に日本政策金融公庫から受け取る用紙です。

この他にも「これは事業計画や資金の出所を説明する上で必要かもしれない」と思った書類は、全て持っていくことをお勧めします。

 

・借入申込書
・創業計画書
・源泉徴収票や確定申告書
・住民票
・預金通帳(直近6ヶ月以上が確認できるもの)事業用もプライベート用も全て持参しましょう
・印鑑
・運転免許証等の身分証明書
・「お持ちいただく資料」に掲載されている資料

 

面談の際は創業計画書を中心に上記の書類を元に質疑応答となります。

必ず忘れずに持参してください。

 

②融資面談担当者の立場に立つ
日本政策金融公庫はできるだけ資金を貸したいと思っています。

なぜなら日本政策金融公庫は、お金を貸した際の利息で賄われているからです。

そのため「必ず返済できる」と判断されれば、融資実行に非常に有利になります。

 

申請者が融資面談担当者なら、どんな人になら少なくないお金を貸せるでしょうか?この視線を持っていると、面談担当者の質問の意図を汲みやすいですし、説明しやすくなります。

 

③厳しい質問にも冷静に対応
日本政策金融公庫はお金を貸す側であり、申請者に貸したお金をきちんと返済してもらえるかどうかを推し量っています。

そのため、申請者からすると「厳しい」と感じる質問もされることでしょう。

融資面談では厳しい質問を投げかけられることあります。

面談担当者は面談結果を書類にまとめ、上層部から融資承認を得るために努力してくれる人です。

つまり日本政策金融公庫に置ける申請者の最大の味方と言えます。

 

厳しい質問も冷静に受け止め、簡潔に答えるよう心がけてください。

 

④緊張はするものと割り切る
どれだけ事前準備をしても、全く緊張しない人もいないでしょう。

絶対に緊張はするものと割り切って、緊張しているけれど気にしない姿勢で臨みましょう。


4.融資面談で必ず聞かれる質問と回答の仕方

①「自己資金はどうやって作りましたか?」
自己資金の出所は必ず聞かれます。
実際に預金してある通帳を見ながらの質疑となるケースがほとんどですので、あらかじめ自分の通帳をチェックしておきましょう。

 

自己資金が退職金であれば源泉徴収票や退職金明細を要求されます。

また給料をコツコツ貯めたのなら給与明細や源泉徴収票が必要です。

 

自己資金の一部が親族からの贈与であれば、贈与契約書の提示が必要な場合も。

借入なら借用書の提示が必要となる場合もあります。

 

②「公共料金や家賃の支払いに問題はありませんか?」
こちらも通帳を見ながら確認されます。

 

主に見られるのは「期限までに確実に支払われているかどうか」です。

もし過去に支払いが遅れていることが一度でもあれば、それだけで融資が通らなくなるケースもあります。

 

なお確認される範囲は直近より1年程度前までが多いようです。

支払い漏れがないよう融資申込前から十分注意してください。

 

③「営業場所はどこですか?」
融資面談の担当者は実際に店舗の立地を確認するため、現地に足を運ぶこともあります。

そのため、できるだけ立地を確定させてから融資の申込をするべきです。

 

また店舗の過大表現や誇張をしないよう気をつけましょう。

 

融資面談担当者はその立地の商圏としてのメリットやデメリットについても質問してくるでしょう。そ

の答えが的確なものかどうかを、実際に足を運んで確認しているともいえます。

 

飲食店など不特定多数のお客様を相手にする商売なら、店舗や店舗前の人通りなどを写真に収めて添付書類とすると非常に有効です。

写真を元に客層と販売物が合致しているかを見極める手がかりとなるからです。

 

④ 「この事業を始めようと思った理由を教えてください」
企業家として、創業の動機についてしっかりと伝えましょう。

面談担当者は申請者の企業に対する姿勢や、やる気等を総合的に見ています。

5行程度で収まるように事前に考えておきましょう。

 

⑤ 「資金繰り計画について教えてください」
在庫の管理方法や回転率などを元に、現実的な回答を心がけてください。

申請者が本当に事業を実行できるのかを見られています。

 

⑥「競合他社との差別化や御社の強みについて教えてください」
第一に、これまでの実績を明確に示すことが重要です。

面談担当者は、申請者が本業で上げてきた実績はもちろんのこと、副業で実績を上げてきたことも歓迎するはずです。

 

これまでの実績を踏まえて、積極的に表現してください。

その上で、USPなどを用いて自社の強みを明快な言葉で述べましょう。

 

※USPとは:Uユニーク(独自性)Sセールス(売り)Pプロポジション(メリット)の略称で、自社の独自の強みを相手のメリットとして提供することを示します。

 

なお競合分析には簡易な4P分析がお勧めです。

※4P分析とは:Product(製品の品質など)Price(価格)Place(立地や販売方法)Promotion(販促方法)を示し、競合他社との比較分析を4つに絞って行う方法です。

 

⑦「御社のビジネスモデルについて教えてください」
お金の流れがすっきりと分かるように説明してください。

もし創業計画書の内容だけでは十分に解説できないと思ったら、ビジネスモデルについて図を用いて別の用紙に表現しても良いでしょう。

A4用紙1〜2枚に簡潔にまとめてください。

 

申請者が事業のお金の流れが明確になれば、面談担当者もその事業の収益元が理解できるため、「その事業で稼ぐことができるか」の判断もしやすくなるのです。


5.融資面談で絶対に避けるべき言葉
①「いくら借りられますか?」
面談担当者から計画性がないと思われてしまい融資実行に不利になります。

絶対にやめておきましょう。

借入希望額は事前に検討しておき、何にいくら必要で、自己資金がこれだけだから、残りのこの金額を融資してほしい、と明確にしておくことが重要です。

 

②「問題ありません」
問題ない根拠を示せるのならよいのですが、自信に満ち溢れているだけだと問題発見能力欠如とみなされかねません。

むしろ自社のプランの弱点や、その補完方法まで述べられればプラスになります。

 

③「他の人でないと分かりません」
創業するにあたり最も事業計画を理解しているはずの申請者に、分からないことがあるとなると非常事態です。

調べてわかることであれば「後でお返事いたします」と言って切り抜けましょう。

2023.04.30
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